以前“声”にまつわる本を読んでいた時に、非常に興味深い考察に出会いました。
みなさんは、“声量がある人”というと、どんな人を想像しますか?
「千の風になって」の秋川雅史?
松崎しげるさん?
はたまた、森久美子さん?(笑)
だいたいの方のイメージが、“声にヴォリュームがある人”といったものだと思います。
私もそのようなイメージだったのですが、その本に書かれていたことは「なるほどね」と妙に納得させられるものでした。
小さい音が出せれば、大きい音が出る?
それは、“ピアニッシモとフォルテッシモの差をちゃんと出せる人”イコール“声量のある人”という見解です。
“ピアニッシモ”は小さい音
“フォルテッシモ”は大きい音
“その2つの差をしっかりと出せる“とは……
つまり、大きい声(フォルテッシモ)自体の音量はそれほど大きくなくても、小さく出すべき声(ピアニッシモ)を、ちゃんと小さく出せれば、大きく出した声が相対的に大きく感じられるという論理です。
なるほど!と思いませんか?
大きい声を出したいからって、頑張って大きい声を出すのは間違いなのです。
もちろん、一流の歌手のフォルテッシモは、普通の人とは比べ物にならないくらい大きいと思います。
そのような人が、ピアニッシモからフォルテッシモまで、自在に使い分けるのですから、表現が豊かになって当然ですよね。
ギターリストも同じです!
この考え方は、ギターリストも持っていて損のない考え方です!!
まず、自分のピッキングをチェックしてみましょう。
フォルテッシモで弾く音を100とした場合、いきなり90くらいで弾き始めていませんか?
それでは、幅が狭すぎます。
その90を中間とした場合、ピアニッシモは80くらいになるでしょうか。
ということは、80~100という、非常にダイナミクスの狭い演奏になってしまうということです。
その程度の表現力では、ギターソロ後半の盛り上げるべき場所で100になったとしても、元々が90なので、出すべき抑揚が全く出ず、のぺーっとした平坦な演奏になってしまいます。
それでは聴いている人に何も伝わりません!
これを矯正するには、大きく出そうとするよりも、小さい音でしっかりと弾けるようになることです。
つまり、より小さく弾けるように練習するということです。
デフォルトの90を80に近づけ、ピアニッシモだった80を70にするよう修練する。
さらに、デフォルトの80を70に近づけ、ピアニッシモの70を60にする……
そうやってどんどん深めていくのです。
小さく弾く……
思ったより難しいですよ!
でも、表現力をつけるためには絶対に欠かせない考え方です!!