PCとインターネットが日常に定着して約20余年、日本人のスマートフォンの保有率が56%という昨今。
それに伴い音楽の在り方も随分と変わってきました。
ギターのお話から少し離れますが、今回はそんなIT時代における音楽との関わり方について、思うところを徒然なるままに書きなぐってみたいと思います。
ミュージシャンの希少価値はどこへ?
ミュージシャンにとってPCの普及は画期的な変化をもたらしました。
例えば、アマチュアでもプロクオリティの音楽が作れてしまうこと。
PCと安価なレコーディングソフトさえあれば、自宅でたった一人でプロ顔負けの音楽が作れてしまう。
下手なミュージシャンでも、後からいくらでも補正して完璧な演奏に化けさせる…
1曲通して完璧に弾かずとも、1小節ずつレコーディングして、後で全てつなぎ合わせて出来上がり…
挙句の果てには、人間が弾かずとも、全て打ち込み…
つまり、ミュージシャンとして腕がある必要性はもう無し。
結果として腕のいいミュージシャンが激減したのもうなずけますね。
悲しいかな今はそういう時代です…
YouTubeがもたらした功罪
そして、インターネットが可能にした音楽とのかかわり方がもう一つ。
それがYouTube。
YouTubeの出現はミュージシャンに様々な恩恵をもたらしましたよね。
古今東西・有名無名・プロアマ問わず、あらゆるパフォーマンスを自宅にいながらいつでも好きなだけ視聴できる魔法のツール。
特に、自分が撮影した動画を誰でも気軽に全世界へ向けて発信できるところは、我われアマチュアミュージシャンにとって画期的ですよね。
それによって、何の制限も受けずに誰でもが自分を存分に表現できる自由を得たのです!
しかし…
それも諸刃の剣で、音楽を生業としてきたプロにとってはデメリットのほうが大きいのではないでしょうか?
YouTubeを通してあらゆるジャンルのアマチュアが自身のベストパフォーマンスを披露。
これによって、一定以上のセンス・才能を持ったミュージシャンは、実はあちこちにいた…という事実が発覚!
中にはプロ以上に達者なアマチュアもいたり…
つまり、図らずも今まで”プロ”として活動していた方々の多くが、実はそう名乗るレベルに達していなかったという悲しい事実が浮き彫りに…
YouTubeに対して恨めしい思いのプロの方も多いのでは?(笑)
純粋な楽曲の良さとは無関係
そして「ヒット曲」という概念にも変化が。
昔は、ヒットするにはいいメロディや個性的なパフォーマンス、常人離れした歌唱力など、制作者と演者に一定以上のクオリティが求められ、それらをクリアして初めてヒットする、という非常に分かりやすく明確な基準があった気がします。
しかし昨今は、売れるにはCMやドラマの主題歌として採用されるか否かなど、つまり何らかの外部の媒体とのタイアップの有無がかなり大きなファクターに。
つまり、楽曲の良し悪しや、演者の技量とはなんの関係もなく、供給する側の”営業力”と”政治力”がモノをいう。
「タイアップなくしてヒットなし」
まさにそんな日本の音楽業界です…
全く嘆かわしい限りですね(笑)
この状況を私が憂いても仕方ないのですが、一昔前の70年代・80年代は、ヒットするか否かは純粋な楽曲の良さとそれを表現するミュージシャンのセンスと力量に依存していた時代だったと思うのは私だけでしょうか。
例えば尾崎豊さんとか…(ベタですが、笑)