私の知り合いに、“音楽理論コンプレックス”のギターリストがいます。
「オレ、理論に疎いから……」
といいながらも、実際に彼はいいギターを弾くのですが……
音楽理論に精通していないと、素晴らしい演奏が出来ないということは決してありません。
理論に疎くても、人を唸らせる演奏は出来ます。
世界に名を馳せる名プレーヤーでも、譜面さえまともに読めない人もいるくらいです。
逆に、いくら音楽理論を熟知していても、つまらない演奏しか出来ないプレーヤーもいるでしょう。
しかし、音楽学校の理論講師ならともかく、かりにもプレーヤーとして“現場”で生きていく場合、それではいけません。
要は、何事もバランスです
どの程度まで理論に精通すべきかは、どんなジャンルをやっているかなど、人によってさまざまなので、一概には言い切れません。
ただ一つだけ確かなのは、その人の中に占める理論と実技のバランスが適正かということです。
一番カッコ悪いのが、理論は詳しいのに、実際のプレイが今一つという、いわゆる“頭でっかち”状態ですよね(笑)
「そうなってはいけない」という自戒もこめて……(汗)
もちろん、理論的な知識はあるに越したことはありません。持っていて場所を取るわけではないですし、維持費がかかるわけでもありませんからね。
ただ、それが感性の邪魔をしてしまっては本末転倒だと思います。
感性が最優先
音楽には感性が欠かせません。それを無視して、理論を優先するのが必ずしも正解とは言えないのが音楽です。
例えば、ブルースなどをやっていると、理論的な解釈ではとても説明のできない進行や音使いが出てきます。
それを画一的に理論に当てはめてしまっては、あの独特の世界観を表現するのは難しいでしょう。
僕が尊敬してやまないギターリストの一人であるロベン・フォードを例に出しましょう。
彼の常套手段に、4度インターバルのダブルストップがあります。
(4度の音程差がある2つの音を同時に弾くこと)
これをあるコードの上で弾き続けると、バックで鳴っているそのコードのスケールから外れた音が混入してくる場合があります。
それでも彼はお構いなしに弾き続けます。
いわく「理論的にはNGかもしれないけど、僕の耳にはOKなんだ」と教則DVDで語っています。
かこいい~抱かれてもいいです(笑)
この言葉は、音楽を志す者にとって、決して無視してはいけないものです。
つまり、理論の前に、感性を磨く、もっと具体的に言うと、“耳とセンス”を磨くのが不可欠だということです。
そして、実際の演奏ではそれらを優先させるべきなのです。
磨き上げられた感性と、正確な判断を下せる耳が備わっている上で、理論的な知識を持てれば最強なのは言うまでもありません。
やはりバランスですね!